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Live Your Own Story
プレシリーズA〜シリーズA資金調達向け事業計画書
Updated as of November 20, 2025
エグゼクティブサマリー
Arcは、次世代のインテリジェント・メッセージングアプリであり、「利便性」と「プライバシー」の二者択一という既存市場の課題を根本から解決します。我々は、オンデバイスAI、ハードウェア認証(AEGIS)、そしてオフラインメッシュネットワークという3つの技術的支柱を組み合わせることで、競合他社が到達不可能なレベルのセキュリティと利便性を両立させます。
フリーミアムモデルを収益の柱とし、2028年までに300万人のアクティブユーザーを獲得、2027年Q4の単月黒字化、そしてその先のNASDAQ上場を目指します。本プレシリーズA〜シリーズAラウンドでは、ユーザー獲得と開発体制強化を目的として8,000万円から1.6億円の資金調達を計画しています。Arcは、人々が真に自由で安全なコミュニケーションを取り戻すための新しいスタンダードを創造します。
Arcの哲学とビジョン
「今を大切にすることで、将来振り返った時に素敵な思い出になる」— この想いが私たちの原点です。Arcは、ユーザーが自分自身の物語を、誰にも邪魔されることなく、安心して紡ぐことができる「場」を提供します。
The Story of Our Name: NocturneからArcへ
私たちの使命は、旧名「Nocturne」の哲学に深く根差しています。2025年9月9日に新たなセキュリティアーキテクチャの着想を得たことを機に、その思想は「Arc」へと引き継がれました。Arcは、人と人をつなぐ架橋となるべく、3つの核心的価値を体現します。
Arc: Accessible, Reliable, Confidential.
ビジョン & ミッション
- ビジョン:BE A GAME CHANGER - 我々は、既存の「プライバシーか利便性か」というゲームのルールそのものが間違っていると考えています。Arcは、その両立が技術的に可能であることを証明し、ユーザーが自身のデータを完全にコントロールできる新しい市場のスタンダードを創造します。
- ミッション:Ignite the Fire - 監視やデータ搾取の懸念から解放されたとき、人々は初めて本来の自由なコミュニケーションを取り戻せると信じています。我々の役割は、そのための安全な「場」を提供し、人々の創造性や人間関係という「火」を灯すことです。
市場機会と競合差別化
3.1. 市場機会と「Plus One」戦略
メッセージアプリ市場は成熟していますが、ここには見過ごされている巨大なギャップがあります。
「リプレイス」ではなく「プラス1」を狙う:
統計によると、日本人のメッセージアプリ平均使用数は一人当たり4個弱ですが、グローバルでは約8個に達しており、人々は相手やシチュエーション(仕事、家族、趣味、密会など)によってアプリを使い分けています。Arcは、既存のLINEやMessengerを置き換える(リプレイス)ことではなく、「最高の機密性に配慮すべきビジネスシーンや大切な人とのほっこり和むようなコミュニケーションの実現」としての「プラス1」のポジションを狙います。UI/UXはグローバルスタンダードに準拠しており、ユーザーの教育コストはほぼゼロです。
「世界的なプライバシー意識の高まり」と「企業の透明性の欠如」、そして「信頼性の空白」という巨大なギャップこそ、Arcが解決すべき課題であり、最大の市場機会です。
徹底した「痕跡ゼロ」
ユーザーの送受信内容を一切監視せず、データの活用や転売も行いません。さらに「時限消滅」により、メッセージは全てのデバイスとサーバーから物理的に消去され、デジタルタトゥーを残しません。
究極の接続性
インターネットが遮断された環境でも、Bluetooth等を用いたP2P通信でコミュニティ形成が可能です。また、独自の高度圧縮技術により、電波が極めて弱い状況でもスムーズな送受信を実現します。
想いを届けるエンターテインメント性
単なる事務的な連絡手段ではありません。感情表現が苦手な人でも、素直に相手に想いを届けられるような、AI支援を含めた豊かな表現機能とエンターテインメント性を実装します。
3.2. 技術的優位性(Technical Moat)
オンデバイスAI
プライバシーを犠牲にせず、サーバーにデータを送らずに高度なAI機能を提供します。
※GeminiやChatGPTなどの競合サービスの動向により、開発内容は変更する可能性があります。
ハードウェア認証 (AEGIS)
物理チップに裏打ちされ、ソフトウェアレベルでは到達不可能な証明可能なセキュリティを実現します。
オフラインメッシュ
インターネットが遮断された環境や災害時でも、通信を確保する究極のレジリエンスを提供します。
3.3. 競合比較分析
| 項目 | Arc (Atlas) | Telegram | Signal | Threema | Element | Session | LINE | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 戦略的優位性 | オンデバイスAI ハードウェア認証 オフラインメッシュ | 圧倒的なユーザー数 | 大規模グループ/多機能Bot | シンプルさ/非営利性 | 永続ライセンス/完全匿名 | 分散型/自己ホスト可能 | IPを隠す究極の匿名性 | スーパーアプリ戦略 |
| 戦略的劣位性 | 新規参入/ユーザー数 | Metaによるデータ活用懸念 | デフォルト非E2EE/ロシア政府との関係 | 機能が限定的/マネタイズ不在 | 有料による導入障壁 | UI/UXの複雑さ | 開発速度/安定性 | プライバシー懸念/アジア依存 |
| セキュリティモデル | 階層型E2EE Essential: E2EE Premium: 商用E2EE AEGIS: 商用+PQC | E2EE (Signal) | E2EE (限定的) 個人: Secret Chatのみ Group: E2EEなし | E2EE (Signal) | E2EE | E2EE (Matrix) | E2EE (Signal) | E2EE (限定的) Letter Sealing(デフォルトON) |
| ビジネスモデル | フリーミアム (広告+月額課金) | 広告 (Metaエコシステム連携) | フリーミアム (広告+月額課金) | 非営利(寄付) | 買い切り (有料アプリ) | フリーミアム (法人向けサーバー事業) | 非営利 (独自暗号通貨) | 広告+多角化事業 |
| 認証方法 | ブロックチェーンベースのDigital ID | 電話番号 (必須) | 電話番号 (必須) | 電話番号 (必須) | 独自ID (匿名) | 独自ID (匿名) | 独自ID (匿名) | 電話番号 (必須) |
| サーバー | 中央集権 | 中央集権 | 中央集権 | 中央集権 | 中央集権 | 分散型/自己ホスト可 | 分散型 | 中央集権 |
| ターゲット | 全方位 (プライバシー意識で階層化) | 一般大衆 | コミュニティ/暗号資産層 | プライバシー絶対主義者 | 匿名性重視の個人/法人 | 開発者/法人/政府 | 究極の匿名性追求者 | 一般大衆 (アジア中心) |
AEGISプラン:防衛テクノロジーレベルのメッセージアプリ
この機能群は、ユーザーのデジタルプライバシー保護を超え、「物理的な安全」にまで踏み込むものです。AEGISプラン(月額1,000円 / $10 USD、年間10,000円 / $100 USD)契約者のみがアクセスできる、競合他社が模倣不可能な聖域(サンクチュアリ)として設計します。
AEGISタップ起動式・多層防衛システム
脅迫下など極度の緊張状態において、複雑な操作は不可能です。そこで、チャット画面上部に常に表示されるAEGIS認証バッジを、状況に応じた防衛機能を発動させるための「パニックボタン」として再定義します。
レベル1: サイレント・アラートモード (AEGISバッジを5回タップ)
- トリガー: AEGISバッジを5回連続でタップ。他者に意図を悟られないよう、表面上はアプリの挙動に変化はありません。
- 視覚的フィードバック: 起動を所有者のみが認識できるよう、AEGISアイコンの上に、事前にユーザーが選択した微細なアニメーションが繰り返し再生されます。これにより、所有者はモードがアクティブであることを確認でき、他者には単なるデザインの一部にしか見えません。
- カスタマイズ: ユーザーは設定画面から5種類のアニメーションパターン(例: 「Stardust (星が舞う)」「Pulse (穏やかな脈動)」「Orbit (衛星が周回)」)を選択可能。これにより、万が一攻撃者がこの機能の存在を知っていても、どのアニメーションが起動の合図かを特定困難にします。
- 機能:
- セキュア・ジオフェンシング: 5回のタップで起動。信頼する連絡先(事前設定)に対し、E2EEで暗号化されたライブ位置情報の共有をバックグラウンドで開始します。再度5回タップすると、この機能はサイレントに停止します。
- 環境音声記録: 同時に、デバイスのマイクが周囲の音声を暗号化し、指定されたセキュアクラウドへストリーミングを開始します。
- セッション・キルスイッチ: ユーザーが設定でオンにしている場合のみ、起動と同時に他の全デバイスのセッションを強制的に無効化します。実行された証として、AEGISアイコンの背景がテーマカラーで一瞬、後光のように発光します。
レベル2: プローシブル・デナイアビリティモード (AEGISバッジを2秒長押し)
- トリガー: AEGISバッジを2秒間長押し。認証後、アプリは"デコイ(おとり)"モードで再起動します。
- 視覚的フィードバック: 実行が成功すると、AEGISアイコンに後光が差すような荘厳なアニメーションが一度だけ表示されます。さらに、デコイモード実行中は、アプリのテーマカラーがユーザーが設定していない別の色に一時的に変化します。これにより、所有者は一目でデコイモード下にあることを認識できます。再度バッジを2秒長押しすると、元のテーマカラーに戻り、通常モードに復帰します。
- "見せかけのプロファイル"の具体例:
- 連絡先: 家族、地元の友人、行きつけのレストランなど、当たり障りのない連絡先のみを表示。(例:「母」「鈴木 健二」「週末のBBQ仲間」「ピザハット」)
- 会話履歴: 日常的で無難な会話を事前に作成・保存しておく。「今夜のご飯は何?」「仕事終わり、牛乳買ってきて」「次の会議、少し遅れます」「週末のBBQ、肉の準備はOK?」など、機密性が皆無なやり取りでチャットリストを構成します。
レベル3: スコーチド・アースモード (AEGISバッジを8回タップ)
- トリガー: AEGISバッジを8回連続でタップ。誤作動によるデータ喪失を防ぐため、極めて厳格な確認プロセスを導入します。
- 確認プロセス:
- 8回タップ後、最初の警告モーダルが表示。「全てのデータが永久に復元不可能になります。実行しますか?」という警告文と共に、同意ボタンとキャンセルボタンが表示されます。
- ユーザーが同意すると、進捗を示す「確認 1/2」というラベルが表示され、2回目の警告モーダルが出現。「これは最終警告です。この操作は取り消せません。」という最終通告が表示されます。
- ユーザーが再度同意すると、「確認 2/2」と表示され、AEGISがセキュア領域内の秘密鍵を物理的に破棄するコマンドを実行します。
プライバシーシールド
| 機能 (Feature) | 概要 (Overview) | 技術仕様 (Technical Specification) |
|---|---|---|
| Per-Chat Lock | チャットルームごとに生体認証やPINコードを要求。 | OS標準の生体認証API (`LocalAuthentication` / `BiometricPrompt`) と連携。対象チャットは個別の暗号化DBとして管理。 |
| Proximity Blur (近接ブラー) | ユーザーがデバイスから離れると画面を自動でぼかす「BlurLock」を実行。覗き見を防止すると同時に、バックグラウンドでアプリをロックします(オン/オフ可)。 | ユーザー検知: 前面カメラとオンデバイスの軽量な顔検知モデル (BlazeFace等) を低頻度で実行。画像はメモリ上でのみ処理。 BlurLock: 画面ブラーと同時にOS標準の生体認証API (`LocalAuthentication` / `BiometricPrompt`) と連携し、アプリをロック状態に移行。復帰には本人による顔・指紋認証が必須となります。 ブラー処理: OSネイティブのブラーエフェクトをオーバーレイ表示し、負荷を最小化。 |
技術アーキテクチャ (詳細)
オンデバイスAI戦略
目的: プライバシーを完全に保護しつつ、ユーザーの生産性を向上させる「体験価値」を創出する。オフライン時にも、簡単な会話はGoogle DeepmindのGemmaベースのAIと可能にすることが目標です。
技術基盤: Google DeepmindのGemmaをベースにした軽量言語モデル。これを我々のユースケースに合わせてファインチューニング後、INT8量子化などを施し劇的に軽量化します。
プライバシー保護の思想: AIの学習は、ユーザー体験を向上させる一方で、プライバシー侵害のリスクと隣接します。Arcでは、当社で用意したAIキャラクターモデルをユーザーがダウンロードする仕様とします。これにより、AIがユーザーとのやり取りから学習することは一切なく、ユーザーの会話データは完全にユーザー自身のデバイス内に留まります。
実装:
- モデル変換: ファインチューニングしたモデルをTensorFlow Lite (
.tflite)形式(Android)とCore ML (.mlmodel)形式(iOS)に変換。 - アプリへのバンドル: 変換したモデルをアプリのアセットとして同梱。
- ネイティブ連携: FlutterからPlatform Channelを通じてネイティブコード(Kotlin/Swift)を呼び出し。
- 推論実行: ネイティブ側でTensorFlow Lite Interpreter (Android) またはCore MLフレームワーク (iOS) を使用し、デバイスのCPU/GPUで推論を実行。
提供機能: 私たちのGenAIコンパニオンは、あなたが孤独を感じる時、いつでも共感的なサポートを提供します。また、文章の自動補完、スマートリプライ、オフラインでの簡易要約など、ユーザーの入力作業をインテリジェントに補助します。
暗号化方式の階層設計
Essentialプラン (コミュニティ版 E2EE)
技術詳細: FirebaseとFlutterのE2EEパッケージを活用しています。この技術基盤は、Arcの旧名Nocturneの段階で既に実装・運用されており、その安定性とスケーラビリティは実証済みです。
安全性: この基盤は、それ自体で非常に安全性が高く、我々の思想の核である「時限消滅」機能と組み合わせることで、強固なプライバシー保護を実現します。これにより、Arcはローンチ初日から、リスクを最小限に抑えつつ、実績のあるE2EE機能を全ユーザーに提供できます。
有料プラン (第三者監査済み 商用E2EE)
技術選定理由: 現時点での当社のエンジニア数(2026 Q1時点で5名)を考慮すると、鍵管理のライフサイクル全体を安全にオフロードでき、SLAが保証される商用SDKの採用が最も合理的です。 Virgil Securityのような専門企業のサービスを利用することで、我々の貴重な開発リソースをプロダクトのコア機能とAEGISの開発に集中させることが可能になります。
APIコールモデルの革新性
プレミアムプラン (2コールモデル)
encrypt(): 送信者が受信者の公開鍵をサーバーから取得し、メッセージを暗号化する。
decrypt(): 受信者が自身の秘密鍵でメッセージを復号する。
シミュレーション: DM(1対1)では1日あたり9,600通、100名のグループチャットでは一人あたり96通の送信が可能です(送信者起点でのAPI消費で計算)。
AEGISプラン (4コールモデル)
このモデルの革新性は、単なる暗号化・復号に留まらず、送受信プロセスの直前直後にIDと鍵の検証ステップを挟む点にあります。
lookupKey(): 送信する直前に、相手の公開鍵が失効・変更されていないかサーバーに再確認する。encrypt(): 確認の取れた最新の鍵で暗号化し、送信する。verifyIdentity(): 受信後、復号する直前に送信者の身元情報(ID)が失効していないかサーバーに再検証する。decrypt(): 身元検証をパスした、信頼できるメッセージのみを復号する。
コストと性能: このAPIコールモデルに基づき、AEGISプランのユーザーは、1日あたり最大4,800通のセキュアなメッセージ送信が可能です。これは、例えば100人いるグループチャットにおいては、一人あたり1日48通のメッセージ送信に相当します。
AEGIS: ハードウェアセキュリティによる独自認証基盤
目的: Arcのセキュリティを競合他社が到達不可能なレベルに引き上げる、技術的優位性(Moat)の源泉。
ハードウェアキー認証
ユーザーの秘密鍵を、OS層からも隔離されたデバイスの物理的なセキュリティチップ(Titan, Secure Enclave等)内で生成・保管します。
デバイス構成証明 (Attestation) と Firebase App Check連携
ユーザーが署名などの重要な操作を行うたびに、デバイスが正規のものであり、OSが改ざんされておらず(ルート化などされていない)、アプリが公式ストアからダウンロードされた正規のものであることを、ハードウェアレベルで検証します。この検証プロセスはFirebase App Checkと緊密に連携します。クライアントアプリは、正規性の証明としてApp Checkから取得したトークンを、全てのリクエストに添付します。我々のバックエンドは、このトークンを検証することで、AEGISによって保証された安全な環境からのリクエストのみを受け付け、不正なクライアントからのアクセスを完全に遮断します。
将来の脅威への備え:PQC(Post-Quantum Cryptography : 耐量子コンピュータ暗号)の実装
AEGISプランの契約者間通信にのみ限定適用し、その絶対的な価値を保証します。
- 採用アルゴリズム:
鍵カプセル化メカニズム (KEM): CRYSTALS-Kyber (NIST PQC標準)
デジタル署名: CRYSTALS-Dilithium (NIST PQC標準) - アーキテクチャ: ハイブリッド鍵交換プロトコル:
- プロセス:
- 公開鍵登録: ユーザーはアカウント作成時、従来の楕円曲線暗号(Curve25519)の公開鍵に加え、Kyberの公開鍵も生成し、サーバーに登録します。
- セッション開始: 送信者Aが受信者Bとのセッションを開始する際、サーバーからBのCurve25519公開鍵とKyber公開鍵の両方を取得します。
- ハイブリッド鍵生成: Aは、BのCurve25519公開鍵を用いてECDH鍵共有を実行し、共有秘密 S1 を生成します。同時に、AはBのKyber公開鍵を用いてKyber.Encapsulateを実行します。これにより、共有秘密 S2 と、S2を暗号化した暗号文 C が生成されます。
- 鍵の導出: 最終的なセッション鍵 SK は、SK = KDF(S1 || S2) という形で、S1 と S2 を連結したものを鍵導出関数にかけることで生成されます。
- プロセス:
- クライアント実装: オープンソースのPQCライブラリ(例: liboqs)をC/C++でコンパイルし、FlutterのPlatform Channelsを通じて各ネイティブプラットフォーム(Kotlin/Swift)から呼び出せるようにブリッジを作成します。
ネットワーク技術とオフラインメッシュ
高圧縮技術
独自の高圧縮技術により、低速回線でもメッセージを素早く送信。
オフラインメッシュネットワーク
2023年よりBridgefy社と共同開発しているSDKを統合。Jack Dorsey氏が2025年7月にリリースを発表した「Bitchat」はBridgefyの下位版とも言え、我々の先行開発は明確なアドバンテージです。
機能・料金プラン
Essential
プライバシーは基本的人権である、を体験する基盤。
- E2EE (Curve25519 & AES)
- 時限消滅メッセージ (OFF不可)
Premium
プライバシーを前提としたAIとの対話という「体験価値」。
($3 USD/mo, 年払い: ¥3,000/$30 USD)
- ✨ Advanced E2EE
- オンデバイスAI
- マルチデバイス(2台)
- 既読マーク制御
- 時限消滅メッセージ (OFF可)
- 👁️ プライバシーシールド
AEGIS
デジタルと物理の両面における、個人の絶対的な安全保障。
($10 USD/mo, 年払い: ¥10,000/$100 USD)
- 🛡️ AEGIS Security (PQC)
- 🛡️ AEGIS 多層防衛システム
- 👁️ プライバシーシールド
- 全てのPremium機能
- マルチデバイス(3台)
| 機能 | Essential | Premium | AEGIS |
|---|---|---|---|
| E2EE暗号強度 | 標準 | ✨ Advanced | 🛡️AEGIS (PQC) |
| AEGIS 多層防衛システム | 利用不可 | 利用不可 | ✓ 利用可能 |
| プライバシーシールド | 利用不可 | ✓ 利用可能 | ✓ 利用可能 |
| オンデバイスAI | 利用不可 | ✓ 利用可能 | ✓ 利用可能 |
| マルチデバイス | 1台のみ | 最大2台 | 最大3台 |
※各機能は随時追加・アップデートされる予定です。
グループチャットの動的セキュリティルール
基本ルール
グループチャット全体の暗号強度は、そのチャットに参加しているメンバーの中で最も低いセキュリティレベルのユーザーに統一されます。
特別ルール (人数制限)
参加人数が101名以上のグループチャットは、インフラ安定性を優先するため、全員が有料プランでも暗号化強度はEssentialプランのレベルとなります。この場合、有料プランのAPIは消費されません。
UI表示
チャット画面のヘッダーに、現在のセッションのセキュリティレベルが常にアイコンとテキストで表示されます (例: 🛡️ AEGIS Secured)。
参加制限機能
新規グループ作成時に参加可能な最低セキュリティレベルを3段階 (Essential以上、Premium以上など) で設定できます。
ビジネス・戦略サマリー
AEGISプランの価値提案は、「デジタルと物理の両面における、個人の絶対的な安全保障(Personal Security Guarantee)」です。多層防衛システムは物理的脅威からの最終防衛ラインを提供し、PQCは国家レベルのサイバー攻撃や未来の脅威から情報を恒久的に保護します。この二つを組み合わせることで、「Arcに預けた情報は、いかなる状況下でも守られる」という究極の安心感を提供します。
GTM(Go-to-Market)戦略
「年間10万円で市民の安全が買える」というキャッチーなメッセージで、全国の自治体(約200団体、全体の10%)へトップダウンでアプローチします。導入自治体のウェブサイトや広報誌で、Arcのダウンロードを公式に案内してもらうよう協力関係を構築します。これにより、広告費をかけずに大規模なユーザー獲得を実現します。
将来的なエンタープライズ構想
(構想段階)将来的には、SalesforceやGoogle Workspaceといった著名なエンタープライズSaaS向けにAPI連携を開発。SaaSのブラウザ画面内にArcのセキュアチャットをEmbed(埋め込み)できる機能を提供し、各SaaSのマーケットプレイスで公開することも視野に入れています。これにより、企業の日常業務フローの中で、コンテキストを維持したままシームレスかつ安全なコミュニケーションを実現します。
| プラン名 (Plan Name) | 価格設定 (Pricing) | 主要価値提案 (Key Value Proposition) | ターゲット市場 (Target Market) | 戦略的目標 (Strategic Goal) |
|---|---|---|---|---|
| AEGISプラン | 月額: 1,000円 / $10 年額: 10,000円 / $100 |
デジタルと物理の両面における、個人の絶対的な安全保障。 | B2C: 富裕層, ジャーナリスト, 弁護士, 経営者 B2B/B2G: 海外派遣企業, 防衛産業, 政府機関, 金融機関, 公務員 |
競合が追随不可能なブランド価値の確立と、高ARPU(ユーザー一人当たり売上)の実現。 |
| 自治体向けプラン | 月額: 1万円 年額: 10万円 |
PoC(実証実験)を含み、市民の生命線となる耐災害コミュニケーション・インフラを低コストで導入。 | 全国の地方自治体 (目標200団体) | ユーザー獲得チャネルの確立と社会インフラとしてのポジショニング。 各自治体で最低100名のEssentialユーザー増を見込む。 |
収益モデル
Arcの収益は、多様なユーザー層のニーズに応える複数の柱で構成され、安定的かつスケーラブルな成長を実現します。
収益の柱
月額課金 (サブスクリプション)
3階層のサブスクリプションが収益の根幹です。年払いオプションによる割引を提供し、LTV(顧客生涯価値)を最大化します。
受託案件などのアプリ内課金
当社が受託する開発案件等の支払いをアプリ内課金として計上。請求書払いとの料金格差でアプリ経由の売上を促進します。
広告モデル
リワード広告
ユーザーが広告視聴で得たポイントをサブスクリプション支払い等に利用可能(収益の30%を還元)。
機能解放型広告
無料ユーザーが週一度の広告視聴でオフラインメッシュネットワークを利用可能に。これによりBridgefy等のコストをカバーします。
AI Conversational広告 (将来実装)
AIとの対話内で、文脈に応じた広告をAIが提案。Googleが関連アドネットワークを公開次第、実装予定。
ビジネスモデルと無料ユーザーの収益性
自治体からの収益は、PoCを含めた手堅い導入(月1万円)からスタートします。重要なのは、自治体導入がEssentialユーザー獲得の強力なチャネルとなることです(各自治体で最低100名のEssentialユーザー増を想定)。また、無料ユーザー(Essentialプラン)についても、Mesh Networkやサーバーコストを差し引いた後で、一人当たり月間3円以上の利益貢献が見込めるよう広告モデルを設計しています。これにより、ユーザー数が増えれば増えるほど利益が積み上がる持続可能な構造を実現します。
コスト構造
サードパーティコスト試算
Virgil Security (E2EE)
有料ユーザー一人あたり月額 $0.019 (約2.85円)
(10万MAUまで固定, 以降ボリュームディスカウント)
Bridgefy (Mesh Network)
新規ユーザーあたり 2セント + 月間利用料 2セント
目標ユーザー構成 (300万人時点)
マーケティング戦略
グローバル戦略: ブルーオーシャン市場の開拓
主要なターゲット市場は、地政学的リスクが高い地域や紛争地、そしてグローバルサウスです。これらの地域では、政府による検閲や通信の不安定さから、安全で信頼性の高いコミュニケーションツールへの需要が極めて高い状況にあります。Arcのオフラインメッシュネットワーク機能は、インターネットが遮断された環境下でも通信を可能にし、競合にはない明確な価値を提供します。
日本市場戦略: 高信頼性が求められるニッチ市場への浸透
一方、日本市場では異なるアプローチを取ります。ターゲットは、政府関係者、企業役員、弁護士など、日常的に高度な機密情報を扱う専門職です。彼らにとって、情報の機密性は最優先事項であり、ArcのAEGISによるハードウェアレベルのセキュリティは、その要求に応える強力なソリューションとなります。
自治体向け防災・減災ソリューション
Arcが単なる「セキュアなメッセージアプリ」に留まらず、社会インフラとしての役割を担うための具体的な一歩として、自治体向けの防災・減災ソリューションを提案します。これは日本発のスタートアップとしての信頼性を確立し、グローバル展開における強力な実績となります。
1. 認証基盤の確立:「本物」の情報を保証する仕組み
ロゴだけでは偽造のリスクがあるため、より強固な認証基盤を実装します。
- 自治体公式アカウントの鍵登録: Arcの運営側が、各自治体の公式な公開鍵を登録・認証するプロセスを設けます。この認証済み公開鍵リストは、アプリ利用者がいつでも確認できるようにします。
- 権限区分の付与: 防災情報を発信する自治体職員の端末に権限区分を付与します(最大20名まで料金に含む)。この機能は、職員のArcプランに依存せず、無料プランでも利用可能です。これにより、「認証された自治体のスタッフ」からのみ公式情報が発信されることを技術的に保証します。
2. 情報の完全性と階層化:状況に応じた最適な情報伝達
災害時には情報の種類と緊急度が異なるため、それらを区別できる仕組みが必要です。
- 情報カテゴリと署名: 発信する情報を「避難指示(緊急度: 高)」「避難所開設情報(緊急度: 中)」「給水情報(緊急度: 低)」のようにカテゴリ分けします。すべての公式情報は、自治体の秘密鍵でデジタル署名されます。受信したアプリ側でこの署名を検証し、改ざんがないことを確認できた情報のみ、公式ロゴと特別なUIで表示します。
- 情報の有効期限設定: 「この情報はX月X日X時まで有効」というメタデータを情報に含めることで、古い情報が誤って拡散し続けるのを防ぎます。
3. ネットワークの実効性担保:究極のレジリエンス
メッシュネットワークが実際に機能するための仕組みを強化します。
- Store-and-Forward(蓄積交換)機能の強化: 近くに受信者がいなくても、メッセージを受け取った端末がそれを一時的に保管し、後から範囲内に入ってきた別の端末にリレーする機能を実装します。
- 公共施設への固定ノード設置の提案: 市役所、公民館、学校といった公共施設に、常時稼働するArcのメッシュネットワーク中継器(安価な専用デバイスや、既存のPCで動作するソフトウェア)を設置してもらうよう自治体に働きかけ、ネットワークの基盤を強化します。
- 一定期間残せるデジタル掲示板機能: 職場で被災した人が避難する際、後から探しに来る家族のために「私は○○避難所へ避難します」といったメッセージをその「場所」に残せるデジタル掲示板機能を開発します。自治体側もこの機能を利用し、「ここは危険区域です。立ち入らないでください」といった警告を特定の場所に設定することが可能です。
- Wifiラジオ(ブロードキャスト)機能(構想): 災害時、インターネットや携帯網が途絶しても、自治体や避難所が持つWifiルーター(発電機等で稼働)を「ラジオ局」のように活用。そのWifi圏内に入った住民のArcアプリに対し、避難情報や救援物資情報を一方通行(ブロードキャスト)で配信する機能を構想しています。これにより、サーバーを経由せずとも、ローカルなインフラだけで多数の住民に重要な情報を一斉伝達するレジリエンスを確保します。
4. 受信者(住民)側のUI/UX:直感的で信頼できる情報体験
住民が情報を直感的に理解し、信頼できるUIを設計します。
- 専用の警報表示: 自治体からの公式情報は、通常のチャットとは全く異なる、専用の警報UI(例: 画面上部に常時表示されるバナー、特別な警告音)で表示します。
- 信頼性の可視化: このUIには、自治体ロゴ、情報カテゴリ、受信時刻、有効期限が明示され、ユーザーが一目で公式の重要情報だと認識できるようにします。
- 偽情報対策: ユーザーが偽の公式情報を作成・転送しようとしても、アプリ側で署名がないことを検知し、警告を表示するか、公式ロゴを付与できないように制限します。
事業収益シミュレーション
2026年Q1のプレシリーズA〜シリーズA資金調達完了後、本格的なユーザー獲得を開始します。2026年4月からの自治体導入(200団体目標)による底堅いユーザー増と、無料ユーザーからの収益貢献(Net ARPU +3円)を含めた試算です。
| 項目 | 2026 Q1 | 2026 Q4 | 2027 Q2 | 2027 Q4 | 2028 Q4 |
|---|---|---|---|---|---|
| 期末総ユーザー数 | 10,000 | 50,000 | 100,000 | 1,000,000 | 3,000,000 |
| 売上 (3ヶ月) | ¥ 1,100,000 | ¥ 11,600,000 | ¥ 17,100,000 | ¥ 117,000,000 | ¥ 339,000,000 |
| (-) インフラ費用 (売上20%) | (¥ 220,000) | (¥ 2,320,000) | (¥ 3,420,000) | (¥ 23,400,000) | (¥ 67,800,000) |
| 売上総利益 | ¥ 880,000 | ¥ 9,280,000 | ¥ 13,680,000 | ¥ 93,600,000 | ¥ 271,200,000 |
| (-) 人件費 | (¥ 12,000,000) | (¥ 18,000,000) | (¥ 24,000,000) | (¥ 60,000,000) | (¥ 150,000,000) |
| (-) 広告宣伝費 | (¥ 150,000) | (¥ 600,000) | (¥ 750,000) | (¥ 13,500,000) | (¥ 15,000,000) |
| (-) その他経費 | (¥ 2,400,000) | (¥ 3,600,000) | (¥ 4,800,000) | (¥ 12,000,000) | (¥ 30,000,000) |
| = 営業利益(損失) | (¥ 13,670,000) | (¥ 12,920,000) | (¥ 15,870,000) | ¥ 8,100,000 | ¥ 76,200,000 |
| 黒字化タイミング | --- | --- | --- | 単月黒字化 | 通期黒字化 |
事業ロードマップ
2026 Q1: 資金調達完了 & 本格始動
- ファイナンス: プレシリーズA〜シリーズA資金調達完了 (8千万〜1.6億円)
- プロダクト: Arc 1.0 ローンチ (モバイル版/Essentialプラン)
- グロース: プレマーケティング開始
2026 Q1-Q2: 機能拡充 & チーム拡大
- プロダクト:
- Premiumプラン提供開始 (Q2): 2コールモデルの商用E2EEプランをリリースし、マネタイズを開始。
- オンデバイスAI実装: ユーザーに寄り添うGenAIコンパニオン機能(文章補助、簡易要約など)を、プライバシーを完全に保護した形で提供開始。
※GeminiやChatGPTなどの競合サービスの動向により、オンデバイスAIの開発内容は変更する可能性があります。 - PC版ローンチ: WindowsおよびmacOSに対応したデスクトップ版アプリをリリースし、プロフェッショナルユースに応えるシームレスなマルチデバイス体験を実現。
- リワード広告導入: 無料ユーザーが任意で広告を視聴することで、有料プランの割引に利用できるポイントを獲得できるモデルを導入。ユーザー体験を損なうことなく、新たな収益源を確保。
- グロース:
- 自治体導入 (200団体目標): 月額1万円のPoCプランで全国展開を開始。災害時のコミュニケーション基盤として定着を図る。
- デジタル広告本格化: プライバシー意識の高い層やテクノロジーに精通したユーザーにリーチするため、X (旧Twitter)や専門技術系メディアを中心とした広告キャンペーンを本格展開。
- コーポレート:
- チーム拡大 (〜10名体制): 開発体制を強化するため、AI/ML、インフラ、各OSの専門エンジニアを増員。ユーザーコミュニティとの関係構築を担うコミュニティマネージャーを採用。
2026 Q3-Q4: 最上位プラン提供開始
- プロダクト: AEGISプラン(ハードウェア認証) 提供開始
- グロース: 10万ユーザー達成
2027: 100万ユーザー達成 & シリーズB
- プロダクト: グループチャット機能高度化, Signalプロトコル移行検討
- グロース: 100万ユーザー達成
- ファイナンス: シリーズB資金調達
2028以降: グローバル展開とIPO準備
- プロダクト: AI機能の継続的改善, グローバル対応
- グロース: 300万ユーザー達成
- ファイナンス: NASDAQ上場準備開始
組織体制と採用計画
主要メンバー
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Founder and CEO: Takayuki Miyano
欧米のヘルスケア企業(Roche、Johnson&Johnson)、アドテクスタートアップ(MD , APAC )、NYのSNS統合管理プラットフォームの日本法人立ち上げ、深圳のゲーム企業、杭州の監視系サイバーセキュリティ IoT 企業、テルアビブ、シリコンバレー企業の経営陣、APAC戦略および日本事業の立ち上げ等、多様なグローバル事業立ち上げ経験を持つ。
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CTO: Akio Yano
フロントエンド、データベース担当
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CIO: Ouki Ito
インフラ、セキュリティ担当
採用計画 (ヘッドカウント)
投資家の皆様へ
本事業計画は、シードラウンドで確立したPMF(プロダクトマーケットフィット)を基に、プレシリーズA〜シリーズAで調達する資金(目標: 8,000万円〜1.6億円)をユーザー獲得と開発体制強化に投下し、300万ユーザー獲得、そしてその先のNASDAQ上場を達成するためのロードマップです。
私たちは、明確な技術的優位性(Moat)、堅牢なビジネスモデル、そして経験豊富なチームで、次世代のコミュニケーションスタンダードを創造します。市場の根深い課題を根本から解決するこの革命的な旅に、ぜひご参加いただけることを心よりお待ちしております。